ベルベットはどうやって織るのでしょうか?

2007.04.14


ベルベットはグランドとパイルと呼ばれる二つの部分から成り立っています。ベルベットの特徴である柔らかい手触りはパイルの部分に触れることにより得られます。
ベルベットをその製法から分類すると一重ビロードと二重ビロードに分かれます。一重ビロードはパイルの部分がループになっているか、あるいは突っ切りと呼ばれる方法でループを切って毛羽を出した構造になっています。二重ビロードは二重織の一種で、最初パイルがつながって袋状になったものが織機についたナイフで切り開かれることにより同時に二枚の生地が織り上がります。したがって、袋になったときは内側になっていた部分が表のパイルになります。一般にベルベットと呼ばれるものはこの二重ビロードを指すことが多いようです。


ベルベットのシャンブレー染めとは何でしょうか?

糸の染め分けにより、玉虫状に見える染め方を言います。この染め方は染まり方の違う二種類以上の糸で織ることが出来れば良いのでベルベットでなくても出来ます。ベルベットの場合、グランドとパイルで糸をかえて染める方法がよく使われます。


ベルベットのオパール加工とは何でしょうか?

薬品で糸を科学的に焼き、模様をつくる加工のこと。この場合、グランドに薬品と反応しない糸を使用します。英語では burn out と言います。なぜオパール加工と呼ばれるようになったのかはよくわかりません。


ベルベットのパイルとは何でしょうか?

ベルベットの毛羽を構成する組織のこと。ベルベットの表の部分です。


ベルベットのグランドとは何でしょうか?

地糸とも呼ばれる、ベルベットの土台となるほうの糸組織を指します。


ベルベットの服にしわがついたときはどうすればよいのでしょう?

生地が立毛の場合アイロンは絶対に使ってはいけません。弱いしわならば湿気の多いところ(浴室など)に一晩ハンガー掛けしておきましょう。ただ、水滴が上から落ちたり、塗れた壁に直接服が接触する様なところに掛けてはいけません。また、強いしわの場合は服に霧吹きで蒸気を吹きかけ、ブラシ掛けをして、きれいになったらドライヤーで乾かしても良い結果が得られる場合があります。ただし、この方法はコツが要りますので、出来るだけ専門の方にお願いした方が良いでしょう。
また、ナデ毛の場合はあて布をしてアイロン掛けをして下さい。アイロン掛けをする前にブラッシングしておくと効果的です。この場合もある程度の要領が要りますので、出来るだけ専門の方にお願いしましょう。


ベルベットは何で出来ているのですか?

製織が可能な糸ならなんでも素材となり得ますが、一般的なものはポリエステル、レーヨン、シルク、綿などです。特に近年は加工による面白さを出すために、グランドと パイルで糸を替えてグランドにはポリエステルを、パイルにはレーヨンを使用するという組み合わせがよく使われます。この組み合わせの場合、オパール加工や、シャンブレー染めが可能です。


ベルベットとベロアはどう違うのですか?

本来はベルベットは織物で、ベロアは編み物です。しかしながら最近ではカジュアル系のベルベットのことをベロアと呼ぶデザイナーの方もおられます。いずれにしても、どちらもパイルを構成する生地のことを指します。
なお、編み物のベロアは一般的に伸縮性がありますが、織物であるベルベットは伸縮性がありません。
※ベルベットでもストレッチ糸を使うことにより伸縮性を出すことが出来ますが、その場合でもその用途はどちらかというと普通の服地向きで、レオタードなどの生地としては向いていないです。


ベルベットとビロードはどう違うのですか?

ベルベットとビロードは同じものです。ベルベットは英語から来ているのに対し、ビロードはポルトガル語、スペイン語から派生した言葉です。


他にない物あきらめない(繊研新聞)

2007.02.05

繊研新聞2007年2月5日
ここに技あり
リネン、ウールもベルベットに
優雅な光沢で最高級の織物として君臨するベルベット。最近は街着にも定着し、身近な雰囲気を増す傾向にある。伝統の枠に納まらず、ファッション素材として発展する間に、世界で知られ始めた名前がある。福井の山崎ビロードだ。
本物の商品開発
リネン100%のベルベット。伸度が低く、どんな織物にするのも難易度が高い麻を、山崎ビロードがベルベットとして完成させたのは昨年のことだ。足掛け3年。糸に微細な傷があり、切れやすく、織機がまともに動かない。織機の改良から、糊やオイルの品種の変更など、10センチの織物にするまで3ヶ月かかった。糸をかけてはすぐ止まる織機の前に一日中、立っていたら、どうなるか。「全部、引きちぎって、破り捨てたくなる」と、山崎昌ニ会長は苦笑する。しかし、新しい素材に取り組む時はいつも同じことの繰り返しだ。頭を冷やし、織機から離れている間に、「おっかあ(夫人)が、糸をつなぎ直してくれている」。最も身近で優秀な技術者である夫人との二人三脚で、45年近い歳月をベルベット作りに専念してきた。
リネンの前にはウールを完成させている。その前は綿だ。もともと長繊維の産地で、準備から染色まで、節のある短繊維は得意ではないが、緯糸だけを変える程度では、「本物の商品開発」にはならない。安価な中国製品などと一線を画す必要もある。ナイロンやポリエステルのマイクロファイバーなど、最先端の合繊も含めて、本場と言われるイタリアでも、まず使われていない素材への挑戦を重ねた。
賃加工が全盛の時代でも、試織に5、6台を割きながら、「他にない」物に挑んできた。オパールもリネンも、さまざまな難しい組み合わせを、染色や加工を担う技術者たちが嫌がらずに、一緒に物作りをしてくれた結果だと言う。「すべては、素晴らしい人々とのつながり」。そんな思いを強めながら、新たな草木染めに向かう。



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