産地に意欲的な動き(繊研新聞)

2006.08.03

繊研新聞2007年8月3日
日本の素材づくり
”スーパーフラット”にも共通点
アナログを支える
「スーパーフラット」という言葉が話題になっている。意味は、伝統的な日本画とアニメーションのセル画に共通して見られる造形上の特徴を表現した概念であり、最近の海外からの日本文化の評価にも使われる。
ファッションの上でもどこか共通点を感じる。フラットなものの見方は、複雑に入り組んだ部分をもシンプルに分かりやすく表現するが、アニメーションのセル画のようにわずかな動作の流れを一枚一枚描くことにより、繊細な動作も躍動感をも表すことができる、いわばアナログの世界を大切にする、心と技術がデジタルを支えていると言えよう。
日本の素材作りもテクノロジーの観点から高い評価を受けている。これは科学や化学の研究の成果も大きいが、産地の人々が伝え磨いてきた技術を、今、フラットな考え方で周囲の意見や市場を見聞きし、経験や勘を働かせるというアナログ的な方法への評価でもある。
福井県の越前市中津山地区は古くから日本有数の羽二重の産地であったが、その中でベルベットの生産に挑んだのが山崎ビロードの創業者、山崎昌ニ氏。会長でありデザイナーの肩書きも持つ。ベルベットをあえて「ビロード」と呼ぶところに氏のこだわりを感じる。フラットな企業理念は、新しいものへの挑戦に意欲的でもある。新しい触感で今後が期待されるナイロン(メリル)を使ったベルベットは、VとWの打ち込みでその効果や手触り感が異なり、さらに研究を重ねている。
新植物繊維として注目されている竹や紙は以前より関心があり、地元の名産でもある手漉きの和紙を組み合わせたレーヨンベルベットはニューヨークの近代美術館に永久保存されている。



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