ノスタルジー賛歌・ビロード(4) gap JAPAN

1992.09.18

デザインと技法の相乗
 現在ベルベットは、主としてグランドにポリエステルを使い、パイルにレーヨンを使用するのが大半だが、デザインの幅は、困難な技術にも関わらず、いや、困難であればあるほどといっていいのかもしれないが、なかなかに多様である。その極限が、ニコル、杣長提携のグランド・ジャガード、パイル・ジャガードになるのだが、いずれにせよ先染糸をドビーやジャガードに掛けるのは、高級品にしばられ、大半は白糸を使って織り、後で2浴染め、3浴染めで、デザインを浮き上がらせていく。
 このなかには、プリント図案とオパール加工とを同時に行い、透明なグランドの上に、パイルデザインを浮き立たせる手法がある。さらにグランドのポリエステルにアセテートを合撚し、レーヨンパイルにアセテートの柄が呼応して、より複雑なデザインを作るといった手法も使われている。
 難点は、フォーマルニーズが高いところから、ともすればデザインが水っぽい方向に偏り勝ちになり、しかも花柄などの図案が、有り合わせではないかと思われるようなものが散見されることだが、その点山崎の仕事には、デザイナーの注文が多いせいか、シンプルなモダンがシャープに表現されているものが見受けられるのが、好感される。量の多募を問わず、現代感覚をもつデザイナーの発注が増えることは、産地の感性を高め、織物アイデアの前進を促す点で、重要といわなければなるまい。



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