お洒落襟巻きで冬を歩く(サライ)

2001.11.01

サライ2001年21号
特集「伝統染織の逸品で、外もあたたか」
毛足を短くすることで、ビロードが軽く楽しめる
中世の欧州で誕生したビロードは、柔らかな手触りと深みのある色調が紳士淑女に愛されてきた。
日本には、天文年間(1550年頃)にポルトガル商船によってもたらされ、その100年後に日本初の国産ビロードが誕生した。織物の表面の柔らかな毛足が生み出す柔らかな手触りは、懐かしい感じがする光沢と共に、服地から椅子張りなどまで幅広く愛用され続けている。
福井特産の絹織物や、京都の伝統的なビロード機屋(はたや)で修行した山崎昌ニさん。ビロード専門の機屋、『山崎ビロード工業』を創業したのは昭和37年のことだ。服地を始め、化粧用のパフといった繊細な技術を要するビロードを手掛けてきた。
現在は持ち前の探究心で、次々と常識を覆す織物を編み出す山崎さん。例えば「ビロードは毛足が長いほど高級品と昔から評価されます。この発想を逆転し、毛足を限りなく短くしていったわけです」毛足を短くしたために、毛の下の地色が見えるようになり、毛足と地の色を変えて織ることで、美しい玉虫風の色表現を生み出した。さらに、織物が薄く、軽くなったことから、様々な製品でビロードが用いられるようになった。



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