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ベルベット実験室:家庭で出来る草木染め

草木染めは古くから行われている染織法のひとつで、そのやさしい色合いは今でも愛され続けています。ただし、工業的に加工する場合はコストが高くなり、色合せもかなり難しいので、高価なベルベット生地の草木染めはあまりお目にかかることは出来ません。しかし、個人的にスカーフ数枚程度の草木染めをすることはそれほど難しいことではなく、普通の家庭で簡単に出来ますので、次に当社のベルベット生地を使って草木染めのストールを作る方法を紹介します。もちろん、素材が綿、シルクなどの天然繊維、あるいはレーヨン、キュプラなどの再生繊維であればお手持ちのハンカチなどでも染め方は大体同じです。

染め方(ベルベットストールでの例)

まず、何を使って染めるか決めましょう。家の近くに自然がたくさんある方でしたら季節の植物を集めてくるのも良いでしょうし、それが出来ない方でしたら、台所にあるインスタントコーヒーやお茶などでも染まります。


材料を集めたら色出しすることが必要です。色出しのあと同一の容器で生地を煮込みますので、生地がたっぷり浸かる容器を用意して下さい。インスタントコーヒーなどでしたらお湯を入れて溶かせばOKですが、草木の葉っぱなどでしたらそれをストッキングなどの袋に入れて色が出るまで煮込んで下さい。

いよいよ染織です。煮出した液が熱いうちに酢を1000c.c.入れてかき混ぜ、そこに生地を充分に濡らして入れて下さい。弱火で60分程煮込みます。酢を入れるのは色を生地に浸透させて落ちにくくするためです。煮込んだ後はさらに生地に染料を染み込ませるために十分な冷却期間を置いて下さい。(2時間以上放置してください。)

生地を取り出して色が落ちなくなるまで水洗いをした後、よく絞って乾燥機にかけて下さい。通常、ベルベットはあまり乾燥機にはかけませんが、ここで使用する草木染め用の生地はパイルに「キスカ」という特殊なレーヨンを使用していますので生地を揉みほぐすことにより、驚くほど柔らかく仕上がります。

上の写真の生地はインスタントコーヒーで染めてみたものです。コーヒーは一瓶使いました。写真の右と左で色が違うのは、左側が通常のコーヒー染めであるのに対し、右側は鉄媒染と呼ばれる手法をとったためです。鉄媒染のやり方についてはここでは省略いたしますが、草木染めの本には必ず載っていますのでそれらをご参考にして下さい。